2012年6月6日、米国のMicrostrainは、データロスのない(※)無線通信プロトコルLXRSを発表しました。 従来は99%の信頼性でしたが、100%を達成したとのこと。 ( 上記図 (※)たいていの動作環境(ノイズ等で断続的にパケットロスが発生するような環境)で。全然通信できないような環境では、当然ムリです。
Microstrainは、無線センサネット機器を製造販売している米国企業です。 ハーベスタ(振動発電、熱電発電、太陽電池など)やセンサも扱っていますし、ソリューションや、クラウドサービスも提供するという、垂直統合型の企業です。 Microstrainが発表したLXRS(Lossless eXtended Range, Synchronized) Wireless Sensor Networksは、機械の稼働モニタリング情報など連続計測したデータを、ロスなく無線通信できるとのこと。 具体的には、以下のような方法でデータを送信します。 1.計測時点でタイムスタンプをつけてデータを保存します。 2.データを無線送信し、ACKが帰ってきたデータは消去します。 3.ACKが帰って来なかったデータは、保存しておき、後で再送します。 4.ACKが帰ってくるまで再送を繰り返すことで、最終的には、計測データを100%送信します。 あまりに無線環境が悪くて、ローカルメモリがオーバーフローするようなことがなければ、ノイズなどの影響で断続的に通信できないことがあっても、ある程度時間をかければ100%送信できることになります。 LXRSを使えば、データのロスを心配する必要がなくなるので、データのサンプリングレートを下げたり、無線送信出力を下げたりすることで、センサノードの消費電力を下げることができます。 そうすれば、電池の寿命を延ばしたり、電池の代わりにハーベスタを利用することができるようになるとのことです。 エネルギー・ハーベスティングは、発電量を保証できないことが多いです。 そこで、一定のデューティーサイクルで無線通信を行うためには、容量に余裕を持たせた薄膜二次電池や電気二重層キャパシタと組み合わせることになります。 しかし、LXRSのような技術(+不揮発メモリ)があると、電気エネルギーがたまったときだけ通信するような、「あるとき払い」方式のシステムを作ることもできます。
安定収入のないエネルギー・ハーベスティングには向いているかも知れません。
情報源:WBB最新情報 NTTデータ経営研 シニアスペシャリスト 竹内 敬治
http://wirelessbroadband.seesaa.net/article/274402004.html#more
参考情報: MicroStrain Releases Groundbreaking New Lossless Extended Range Synchronized (LXRS(TM)) Wireless Sensor Networks MicroStrain’s wireless sensor users have previously enjoyed a typical RF packet success rate of 99% - not bad. But now, with MicroStrain’s new LXRS “lossless” protocol, wireless sensor networks can deliver 100% reliable data throughput under most operating conditions. (2012年6月9日、PRWEB)
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