クレジットカード大手のマスターカードは、Zwipe社と共同で、指紋センサ付きのクレジットカードを開発しました。
現在発行されているクレジットカードは、読み取り機に差し込んでPINコード(暗証番号)を打ち込んで認証します。 しかし、この新しいクレジットカードは、指紋センサ部に指をつけて、読み取り機にかざすだけで、認証を行うことができます。 Zwipe社によれば、この認証には1秒もかからないとのことです。
現在のバージョンは、電源として電池を内蔵していますが、将来のバージョンでは、読み取り機からの「エネルギーハーベスティング」で作動するようになります。 正確には、エネルギーハーベスティングというよりも、ワイヤレス給電の一種になると思います。
バイオメトリクス認証(生体情報による個人認証)の仕組みは、徐々に普及が始まっています。たとえば、iPhoneも5Sからは指紋認証が使えるようになっています。三菱東京UFJ銀行のATMでは、手のひら静脈認証が使われています。今後、バイオメトリクス認証は、暗証番号やパスワードの代わりに、ますます使われるようになっていくでしょう。
クレジットカードの発行枚数は、日本だけで3億枚を超えています。ワイヤレス給電あるいはエネルギーハーベスティングが電源として搭載されるようになれば、市場の大きさとしてはある程度期待ができます。5年程度で有効期限が切れますので、あまり強固な耐久性は要求されません。電池を取り出して分別せずにハサミを入れるだけで捨てられるようになれば、電池よりも利用者の手間が少なく受け入れられやすいです。
このようなアプリケーションには、以下の理由で電池が使いにくいです。
(1)大部分の利用者のカードは、電池容量が残ったままで捨てられることになり、火災等の原因となる。
(2)一部の高頻度利用者のカードは、期限前に電池が切れる。クレジットカード会社にとって最も大事な顧客からのクレームにつながる。
一見、電池を入れれば済みそうなアプリケーションでも、エネルギーハーベスティングの優位性が見いだせるものがあります。 クレジットカードは、その一例といえるでしょう。
情報源: WBB 最新情報 NTTデータ経営研究所 シニアスペシャリスト 竹内敬治
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