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ニュース / 世界重要トピックス
圧縮空気技術を応用したエア・カーの開発状況と普及課題(3)
2010年04月27日

 データリソース社は、21年度、財団法人機械振興協会経済研究所からの委託により、「クリーンエネルギー変換技術としての圧縮空気技術の課題と展望調査」を実施し、エア・カーの開発状況と普及の課題をとりまとめました。
 DRレポートで、その内容の一端を報告致します。

エア・カーの将来展望

 現在、電気自動車(EV)やそれに搭載する二次電池に対する大規模な研究開発投資が行われており、EVのコスト低下や性能向上が期待されています。
 もしも、非常に安価で、軽くて、充電時間が短く、何度でも充放電できて、レアメタルを使用せず、稼働温度域が広い二次電池が開発されれば、おそらくエア・カーの出番はないでしょう。
 しかし、「リチウムイオン電池の価格が高止まりすれば、街乗りセグメントではエア・カーが勝者になる可能性もある」、ということに、ジョージア工科大学のハイブリッドカーの専門家、Doug Nelsonは同意しています。1)

1) Deflating the Air Car (IEEE Spectrum, 2009年11月)
http://spectrum.ieee.org/energy/environment/deflating-the-air-car/0

 エア・カーに未来があるとすれば、どのような市場セグメントにおいてでしょうか。

(1)低緯度の発展途上国向けゼロエミッションカー

 外気温40℃を超えるようなところでエアコンをつけてEVを走らせる場合、走行距離は非常に短くなると考えられます。それに対して、エア・カーは、排気を冷房に使えるので、エアコンをつけても走行距離が短くなりません。暑い地域に向いていると言えます。
 また、低所得の国では、高価な電気自動車を大量に普及させることは難しいですが、低コストのエア・カーなら普及させやすく、台数が出れば充填ステーションも商売になります。
 今後モータリゼーションが進む発展途上国において、CO2排出量削減と両立できる交通機関のオプションになりうると言えるでしょう。

(2)地域のカーシェアリング車両

 クリーンなエア・カーは、短距離を移動する地域のカーシェアリング車両の候補です。EVよりも低コストな点が、自治体にもアピールするでしょう。

(3)街乗り用のセカンドカー

 走行距離や最高速度がそこそこのエア・カーでも、通院や買い物、自転車の代わりなど、街乗り用途のセカンドカーとしては十分に機能します。

(4)業務用車両

 郵便配達や配送など近距離・低速移動中心の業務車両もエア・カーに適しています。ニース市も、AIRPodを郵便配達に導入予定です。

(5)構内移動車両

 工場内などの構内を移動する車両としても、エア・カーは活躍できそうです。AIRPodのファーストユーザは、航空会社のAir FranceとKLMで、空港内の移動に使います。

 性能はそこそこでも、低コストのゼロエミッションカーとして、ある程度の市場はありそうです。


エア・カー普及の課題

 さて、このようなエア・カーを日本で普及させるのは、実は、簡単ではありません。エア・カー普及の主な課題を挙げてみましょう。

(1)高圧ガス規制

 現在の高圧ガス保安法及び容器保安規則に従うと、エア・カーに搭載する圧縮空気タンクの圧力は最高でも10気圧です。これではほとんど走りません。欧州と同じように、300気圧程度の圧縮空気タンクを搭載できるようにする必要があります。
 技術的には、それほど困難はないと思われます。燃料電池車では、700気圧の水素タンクを積みます。それが可能なら、300気圧の圧縮空気タンクも搭載可能でしょう。安全性には最大限の配慮をしつつ、法改正を進めることが必要です。
 まずは南の島だけ特区にするというのもよいかも知れません。

(2)事業主体

 肝心のエア・カーを作る会社が、今のところはありません。技術的には、ガソリン車の構造を単純にしたようなものですので、どこの自動車会社でも作れそうですが、各社の事業ポートフォリオに組み込むことができるでしょうか。
 世界でも、エア・カーに大規模な投資をしているのは、インドのタタ自動車のみです。

 インドでは、個人の発明家Kanak Gogoiが、エア・カーを発明した功績で、2009年11月、パーティル首相から国民発明賞(National Innovation Award)を授与されました。
 エア・カーは構造が単純なだけに、異業種からの参入があるかも知れません。

写真: Kanak Gogoiと、彼が発明したエア・カー。2人乗りで最高時速90km。
http://cba.mit.edu/events/09.08.FAB5/Gupta/Innovators.ppt


(3)充填ステーション

 家庭置きの小型空気圧縮機(コンプレッサー)で夜間にゆっくり充填する、という方法も魅力的ですが、騒音や空気圧縮機のメンテナンスの手間を考えると、充填ステーションが街中に欲しいところです。

(4)低炭素社会を目指す国家戦略への組込み

 ガソリン車をエア・カーに代替することで、1台当たり15トン程度のCO2排出量を削減できる可能性があります。年間100万台販売すれば、CO2削減量は1500万トンで、これは我が国のCO2排出量(13億トン)の1%程度に相当します。
 我が国の政策は、低炭素社会に向けて大きく舵を切っていますが、今のところ、エア・カーは、国家戦略には組み込まれていません。
 仮に、EVや燃料電池車への投資や補助にかけている額の1%でも、エア・カーに投じれば、相当のCO2排出量削減効果が期待できますので、国家的なリスク分散の意味でも、国の支援が望まれるところです。


グローバル展開に向けて

 AIRPodが、欧州各国や中国で大量に走り始めれば、政府関係者などの見る目も変わるのでしょうが、MDI社は相変わらず頼りないところもあり、いつ製品が出るのか予断を許しません。

 しかし、今の状況を利用することもできます。
 我が国は、(1)圧縮空気を作るコンプレッサの技術、(2)圧縮空気をためる高圧タンク(材料としてのカーボンファイバ)の技術、(3)圧縮空気を利用する自動車製造技術の、いずれでも、優位性を持っています。
 これらの優れた国産技術を組み合わせれば、MDIよりも早く、完成度の高いエア・カーを開発し、発展途上国を中心にグローバルに展開できるかも知れません。

 エア・カー自体は単純な構造ですが、その普及のためには、法改正やインフラ整備など、課題が幾つもあり、1社の取り組みでは無理です。研究機関、自動車(部品)メーカ、コンプレッサメーカ、高圧容器メーカ、電力会社、利用企業、自治体などでコンソーシアムを組み、開発と普及に向けて活動するのはいかがでしょうか。

データリソース社 シニア・アナリスト 竹内 敬治



この事業は競輪の補助金を受けて実施しております。


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